NPO法人(特定非営利活動法人)・内閣府認証 日本学生スポーツ・音楽振興協議会

JAZZ

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ステラジャム 4つの挑戦

1.課題曲

image ジャズという音楽に「課題曲」がなじまないと考える人は少なくありません。ステラジャムではミディアムスローのスウィング曲をひとつの「基本」と考え、その基本をきちんと押さえるために課題曲制度を設けています。全参加バンドが同一曲を演奏することで、基礎技術を公平に評価できるというメリットがあります。Get Betterの「基準点」を確認し共有するのが課題曲の主たる目的です。また、課題曲が存在することによって自由曲がよりバラエティに富むという逆説的な側面もあります。対比する基準が明確であるから多様性が活きてくるわけです。曲を単体で考えるのではなく、ショー全体の構成に思いを巡らす。その能力を磨くための要石(キーストーン)として課題曲を活用できるのです。

2.リアルタイムコメント

image 各バンドが持ち時間15分で課題曲と自由曲を演奏します。6名の審査員はその間、演奏を聞きながら、マイクからリアルタイムコメントを録音していきます。その結果、6つの角度から分析したコメントが残ります。各バンドは90分(15分x6名)のクリニックを受講したのと同様の情報が得られるわけです。2018年の参加は42団体でしたから、全部で252本(6本x42団体)のコメントファイルがあります。その総時間数は、63時間(3780分=15分x252本)にもおよびます。そしてそれらはすべて、YouTubeで公開されています(「第10回ステラジャム 学校名 審査員名」で検索)。ステラジャム出場団体はもちろん、世界中の誰でもこれらのコメントを聞くことによって、ジャズ合奏の注意すべきポイントを学ぶことができます。リアルタイムコメントには、いろんな活用法が考えられます。コメントを聴いて、まずは自分たちのバンドの長所と短所を洗い出す。つぎに上位バンドのリアルタイムコメントと聴き比べることで、今後の練習方針が明らかになってくるでしょう。さらに進んだ使い方として、ひとつのバンド(自バンドでも他バンドでも)について1年前のコメントと今年のものを聴き比べるという方法があります。1年間の成長や、なかなか直せない課題などを確認するのです。この「歴史解析」をすることで、来年への成長戦略を立てやすくなるはずです。他者と競うのではなく、ひたすら自分の成長を追求する。合言葉は つねに「Get Better」です。

3.生音

image ビッグバンドは大きなホールで演奏する場合、たいてい音響設備が整っていることでしょう。しかし、その現状自体をステラジャムは理想的とは考えていません。逆に会場の大小を問わず、PAを通すことなく生音を体験できる環境をもっと増やすべきであり、それゆえ学生ビッグバンドに対しても、PAに頼れない演奏の場を提供することに意義があると考えています。PAで作りすぎた音が「当然」となってしまっている現状を憂いているわけです。このことは少なからぬプロミュージシャン、音響エンジニア、舞台関係者、ジャズ指導者などから賛同を得ています。学生ビッグバンドの常識が、音楽界全体の常識と一致しない場合もあります。常識を疑うこともまた重要な学びですので、ステラジャムという場を使って、参加者も運営者も相互に試行錯誤を重ねる必要があるでしょう。ステラシアターという難しい環境において生音で演奏することは、くふう次第でGet Betterにつながるものとステラジャム実行委員会では確信しています。実際にそのように感じておられるバンドもあります。もちろん簡単なことではありませんので、リアルタイムコメントを聴き込んで、会場特性とサウンドの関係を学んでいただきたいと考えます。PAで作ったサウンドを理想とし、それに合わせた音量を求めるならば、ステラジャムが求めるものとは異なります。生音主義を通じてステラジャムがめざすのは、フォーカスが効いたコアのあるサウンドです。それは騒音的なパワーではなく、音量的にはスッキリしていて、しかも迫力を感じさせる演奏です。これも簡単に達成できるものではありませんけれども、Get Betterのテーマとして研究し取り組む価値のある目標と考えています。そのためには優れたバンドの生音をたくさん聞く必要があるでしょう。ステラジャムは、その貴重な体験ができるチャンスととらえていただければ幸いです。以上の説明からおわかりいただけるように、ある文脈において、生音主義はきわめて重要であるというのがステラジャム実行委員会の結論です。生音の重要性が理解されていない現状に対する問題提起をも含んでいるのです。

4.コンダクター

image ステラジャムは第1回から一貫してコンダクターが立つことを推奨してきました。その意図に賛同するバンドも少しずつ出ています。彼らを積極的に評価することは、ステラジャムの責任であり義務であると考えています。そこで、第11回(2019年)から、課題曲については、指揮者が立つことをルール化し、コンダクティングを採点対象としました。コンダクターによってバンドがまとまり、演奏が良くなる経験をしたことがなければ、コンダクターの意義は理解できないはずです。ステラジャムでは、その機会を提供することをめざしています。特にテンポオーバーが減点対象となる課題曲では、コンダクターを最大限活用し、Get Betterに役立てていただければと思います。また、生音の音量バランスについても、コンダクターが立つことはプラスに働くでしょう。なお、コンダクターの出場資格については一切制限がありません。年齢制限もありません。上級生でもOBでもプロでも構いません。

まとめ

image 1937年にグレン・ミラー・オーケストラが結成されてから80年以上。ビッグバンドという形態は、歴史的にも、地理的にもさまざまなバリエーションが生まれており、いかなる考えもけっして「これが正解」とは言えない状況です。テーマ曲 STAR BRIDGE の歌詞に「正しさそれは幻想、ただのサンドグラス」とあります。正解のように見えても、それは砂時計(サンドグラス)の砂のように、時とともに形を変えてゆく。でも「レースははてしもなく、まわるつづく」のです。Get Betterは回り道の連続。それは出場者である学生バンドも運営者である実行委員会も同様です。したがって、ステラジャムはつねに「変わり続けて」いくことと思います。一時的にあるいは部分的に考え方が違うことがあっても、「変化と多様性」を重視したステラジャムを応援していただければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。

ステラジャム実行委員会 
2019年3月
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